GREETING

理事長 弓削一幸の挨拶

当ウェブサイトをご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。
一般社団法人日本マーケティング税理士協会(以下、当協会)の理事長を
務めております公認会計士の弓削一幸(ゆげ かずゆき)と申します。

ここでは、私の経歴を簡単に説明させて頂いたのちに、当協会を設立しました趣旨等をお話しさせていただきます。
最後まで、お読みいただけますと幸甚です。

私は、京都大学法学部を卒業した後、一般事業会社勤務を経て公認会計士試験に合格し、KPMGにて約4年間、監査実務や各種デューデリジェンスを経験させて頂きました。その後、独立して事業再生を中心とする株式会社を設立し、全国の金融機関の皆様と共に事業再生に従事してまいりました。関与させて頂きました事業会社は200社以上になりますが、その中で日本のビジネス社会の抱える大きな問題を2つ感じた次第です。

1つは、日本の中小企業にはマーケティング思考が欠如していること、2つには、事業再生に関与している「事業再生の専門家」にも、私を含めてマーケティング思考を実装している人が皆無だったことです。

日本の中小企業の多くには、マーケティング思考が存在しない

売上を直接触ることができる唯一の学問であるマーケティングに関する知見が、私が関与した中堅・中小企業には100%存在していませんでした。事業再生のフェーズに陥ることになった会社なので当然だろうというご指摘があろうかと思いますが、事業再生以外のM&A等の仕事で関与したバイ・サイドの優良会社にも、マーケティングの知見は存在していませんでした。私の経験から帰納的に表現するならば、「日本の中堅・中小企業の多くには、マーケティング思考が存在しない。」となります。勿論、中小企業であるにもかかわらずマーケティングを駆使している会社も存在しますが、全体からすれば、極めて例外的な存在でしょう。

税理士や会計士等の専門家にはマーケティングの知見が実装されていない

私が深く関与してきた事業再生という職域の専門家の多くは、税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士、銀行員です。彼らの専門は、会計や税務、法律であり、各々の専門家の立場から事業再生を支援しているのであって、「事業そのものを再生する」という意味での専門家ではありません。事業再生に最も必要な知見は、マーケティングなのですが、そういった専門家にはマーケティングの知見は全く実装されていませんでした。

かく言う私も、監査実務を離れた後に事業再生に関与した頃は、マーケティング思考など全く身についていませんでした。大学は法学部、その後の実務は公認会計士としての監査実務が中心でしたから、マーケティングを学んだこともなかったわけなので、当然と言えば当然です。
私以外の税理士の先生や弁護士の先生も、税法や各種法律の勉強に時間の多くを注ぎ込んできたわけで、マーケティングを学ぶ時間などなかったわけですから、マーケティング思考ができないのは当然と言えば当然なのです。

私が、事業再生の実務を重ねる中で、「このような再生計画を作ったとしても、計画を担保に債務者には銀行からニューマネーが供給されるが、事業そのものが真の意味で再生できない限り、早晩資金繰りが逼迫し、同じような状況に再び陥るに違いない。」ということに気付きました。「自分は事業再生の専門家などではなく、事業再生手続きの専門家だったのだ。」との気付きを経てから、私は売上に直接アプローチできる唯一の学問であるマーケティングを必死で学びました。マーケティング関連の書籍を貪り読み、戦略ファームの友人や、大手広告会社の知己を頼って教えを請い、自分なりのマーケティングの知識体系を整理し、事業再生の現場で実践するということを繰り返しました。そのような取り組みを20年程度続けた結果、事業再生の現場で成果の出るマーケティングの知識体系を構築することができました。

また、現代では、マーケティングの新たな知見が日々生み出され、伝統的な知見がアップデートされ続けているため、そういった新たな知見のアップデートには、余念がありません。

日本の中堅・中小企業にマーケティング思考を実装する

総じてマーケティング思考が存在しない日本の中堅・中小企業に、マーケティング思考を移植することができれば、経営者はビジネスに関連する多くの不安から解放されるでしょうし、自信をもって自分たちでビジネスを回していけるでしょう。あるいは、中堅・中小企業の規模からスケールして大企業となる会社も出てくるかもしれません。中堅・中小企業が今よりも儲かるようになれば、そこで働く従業員の待遇も良くなるでしょうし、何より赤字割合が70%を超えると言われている中小企業の多くが黒字化すれば、納税額も増えて、社会が抱えている未解決の問題にお金が回ることになって、よりよい社会が実現することにも繋がるはずです。

そして、日本の中堅・中小企業にマーケティング思考を実装するためには、そういった企業経営者に最も身近な専門家である税理士や独立会計士の先生自身がマーケティングの知見を実装し、企業経営者との日々の会話の中で、マーケティングの知見を使った具体的な施策がどんどんビジネスの現場に落とし込まれていく世界を作ることが必要だと思ったのです。

そして、そういった世界を実現するために、このたび、一般社団法人日本マーケティング税理士協会を立ち上げたわけです。以下では、当法人の掲げているミッション、ビジョンおよびコンセプトをお話しさせていただきます。

Vision

当協会が作りたい世界

税理士を経営参謀に。

私たちは、中堅・中小企業経営者に最も近い専門家である税理士等(等には、公認会計士、弁護士等の有資格者を含む)が、従来の自分の専門領域を超えて、マーケティングを中心とするビジネスに関する知識を実装し、中堅・中小企業経営者の経営参謀として社会に貢献できる世界を目指します。

世の中の中堅・中小企業経営者が、意識しているいないに関わらず、最も求めているのは、自分のビジネスに対する適切な評価と具体的なアドバイスのはずです。なぜならば、経営者の最大の関心は、「儲けること」だからです。
しかし、中小企業経営者の傍には、ビジネスそのものに関する知見を実装した専門家がいないことが多く、「誰に相談していいのかわからない。」というお悩みを抱えていることがとても多いように思います。仕方なく、身近な他の経営者に相談するものの、相談を受けたその経営者自身も同じようなお悩みを抱えているため、こういったお悩みは解決されることがない、というのが、日本の中堅・中小企業界隈のあるあるではないでしょうか。

そして、自分のビジネスの相談相手として、最も接触機会が多い身近な専門家である税理士や独立会計士の顔が思い浮かばないのは、経営者にとって「税理士等は税務の専門家」だからであり、「経営やビジネスの専門家」ではないからです。
もし、経営者に最も近い専門家であり、接触頻度も高い税理士等が経営参謀として気軽に相談できる相手になれば、経営者にとってこれほど心強いことはないでしょう。

そして、そういったビジョンが実現される結果、税理士等という仕事が、いかに魅力的で、社会貢献性が高く、楽しい仕事であるかを未来の子供たちに伝えることができれば、税理士等が子供たちの憧れの職業になって、業界全体のレベルがもっと上がることに繋がるので、それは中小企業経営に、さらには社会厚生を高めるモノになると確信しています。

Mission

当協会に課された使命

税理士に対するパーセプションを変革する。

先に掲げたビジョンを実現するためには、税理士に対する世の中のパーセプション(知覚=〇〇とは何か、〇〇とはどういうものか)を変える必要があります。世の中の税理士に対する現時点でのパーセプションは、「税金の専門家」、「企業の申告や納税を代行してくれる人」や「納税額を少なくしてくれる専門家」など、概して言えば、「税法の専門家」であることが一般的であることと思います。
なぜ、このようなパーセプションが形成されたのかと言えば、それは税理士の長い歴史の中で、税理士やその団体である日本税理士協会が、「税務業務は税理士の独占業務です。」と世の中にアピールし続け、「税理士は税務の専門家です。」と世の中に自らの存在意義、存在価値を訴求し続けたからです。

税理士に対するこういったパーセプションは、税理士の長い歴史の中で、税理士自身が世の中にコミュニケーションし続けた結果、世の中の多くの経営者にとって信念のように固く頭の中にこびりついているので、これを一気に引き剝がして新たなパーセプションに付け替えること(パーセプション・チェンジと言います)は、とても難易度が高く、そのコミュニケーション・コストは莫大なものになることが予想されます。

このように、一朝一夕にそのパーセプションを変えることは困難に見えるかもしれませんが、志を共にする多くの仲間と共に、当該変革を進めていく所存です。「税理士等は、会計や税務の専門家である。」という既存のパーセプションを、「税理士等は、経営参謀である。」というパーセプションに変えることが、当協会の掲げるミッションです。

こういったパーセプション・チェンジに成功すると、「税理士は納税額を少なくする専門家である。」というもう1つのパーセプションを変えていくことも容易になるでしょう。税理士は、「納税額を少なくする専門家」などではなく、顧問先のビジネスを伸長させて儲けさせて、「より多くの税金を払わせる専門家である。」という新しいパーセプションに変革できます。

税理士が税務業務を行う、公認会計士が監査業務を行う、弁護士が法律業務を行う、社会保険労務士が人事問題を扱う、エンジニアがコーディングを行う、ライターが記事を書くといったようなことは、これまでの世界では各々の職業を全うするという意味では、各々の職業的には十分であると無意識のうちに考えられてきたと思います。

これって、とっても勿体ないことだと思いませんか?税理士や公認会計士、弁護士等という難関資格を取得する程度に優秀な頭脳を持つ先生方が、会計や税務と、法務いう専門知識に束縛されてしまう結果、世の中にさらに貢献できる機会を失っているのです。税理士や独立会計士などの限られた経営資源が社会的に有効活用されておらず、社会厚生の大きな損失が生じています。私どもの取り組みは、社会厚生の歪みを正すことにも繋がる活動だと思うのです。

Concept

当協会が行うべき具体的活動

税理士等がマーケティングを実装する。

ビジネスを語る上で必須で、優先度が高いのがマーケティングに関する知識です。先に述べたビジョンで描く素晴らしい未来を実現し、ミッションで述べた税理士に対するパーセプション・チェンジを実現するための必要条件は、税理士等がマーケティングに関する知識を実装することです。また、マーケティングを実装しただけでは十分ではなく、その知識をビジネスの現場で実際に適用してみるアウトプットの重要性はどれだけ強調しても、強調し過ぎるということにはならないでしょう。

マーケティング知識を実装した税理士や独立会計士が、その顧問先が展開しているビジネスに対して適宜、適切なアドバイスを行うことで、実際に顧問先のビジネスを伸長させることができる。各々のマーケティング税理士によるこういった実績の積み重ねが、税理士に対するパーセプションを少しずつ変え、掲げたビジョンが規定する世界を実現していくのです。

もしも、税理士等がビジネスに関連する圧倒的知識を身に着けて、日々自らの顧問先の経営者の経営相談に対して適切にアドバイスができるとすれば、中小企業経営者にとって最も大きなお悩みが解消され、そのアドバイスが適切であれば、ビジネスが伸長して利益が増加し、納税額も増えることになります。
結果、取引銀行の評価も上がって金利が下がるかもしれないですし、従業員の賃上げが可能になるでしょうし、当該税理士等の評価も上がって顧問報酬の増額にも繋がるはずです。このように、顧問先の経営者、顧問税理士、取引銀行、国や地方公共団体等全ての利害関係者にとってwin-winの関係を築くことが可能になるのです。

そして、税理士等の先生がマーケティングを実装する場として、問題解決倶楽部でのマーケティング研修を提供しています。マーケティング研修は毎月1回の座学と、実際の企業様を招いての特別研修の2段構えになっています。特別研修は定期的に開催しているわけではなく、学ばれている先生方のクライアントの中で無料コンサルティングを希望される企業様にご登壇いただくものです。
問題解決倶楽部が提供している座学研修は48コマに及びます。マーケティング知識の網羅性をある程度確保するためには、この程度の回数はどうしても必要なのです。

受講生が受講回数を重ねていくと、次第に顧問先の経営者との会話の内容が自然と、定量的な数字だけの会話から、定性的なビジネス中心の会話になっていくようで、経営者から、「先生は、そんなことも知っているんだね!」と驚かれたり、「先生と出会って顧問になってもらって本当に良かったよ。」と感謝されることが多いようです。当然ながら、顧問報酬を上げやすい環境を自らが作り出すこととなって、実際に報酬アップに繋げている先生も多くいらっしゃいます。

最後に

ここまで、当協会が描く未来(Vision)と、当協会に課された使命(Mission)、当協会が行うべき具体的活動(Concept)をお話ししてきました。どれも、奇想天外な言葉に見えることでしょう。しかしながら、これらの言葉は、レトリックの撞着語法や逆説法を用いて、印象深く強調するために技巧を凝らした言葉などではなく、本当に実現したい「まだ見ぬ世界」なのです。

現時点では、多くの企業経営者が、「税理士」と「経営参謀」という言葉は逆説的であると感じるでしょうし、「税理士」と「マーケティング」もかけ離れた遠い言葉であると思われるでしょう。でも、近い将来、これらの言葉の組み合わせが当たり前である世界を目指して、私どもは一歩一歩、歩みを進めて参ります。

激動の時代には、私ども会計専門家等も変わり続けねばなりません。変わらないこと自体が一番のリスクです。AIの予想をはるかに超えた急激な進化によって、我々専門家の職域が侵犯されたとしても、マーケティング思考によって培われた考える力、変化にアジャイルに対応できる力は脅かされることはありません。

当協会の掲げるVisionやMissionに共鳴してくださり、問題解決倶楽部での学びにご興味を持たれた税理士等の専門家の先生方、および、こういった高い志で学びを続けておられる先生方を顧問に持ちたいと思われる経営者の方々は、ぜひご一報いただければ幸甚です。